検索
タグ
本
トレンド
雑誌
文章
来し方
人生
健康
IT
ビジネス
メディア
短歌
アウトドア
ブログ
医療
日本
美術
写真
音楽
セキュリティ
クルマ
アート
サバイバル
スポーツ
英語
映画
ニューメディア
建築
世相
ネットオークション
クラシック
カテゴリ
以前の記事
2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2006年 06月 30日
バイオレンスとエロスの大御所であられる夢枕獏さん著「仰天・プロレス和歌集」集英社平成元年刊よりの一首です。
先週は異端爺めの短歌風川柳をお恐れながらご紹介し、敬愛する啄木歌集から引かせていただきましたが、これはまた異色と感動の名作です。 帯には『プロレスをこよなく愛する心優しき人々に贈る、ギャグの嵐!』、さっそく心に残る数々をご紹介してみましょう。 このやろうとマイク持つきみの小指が立っている 『いやあ、情景が浮かんできますね(地の文は選評調です)。』かわいい小指なんでしょうね。こころやさしいヒール(悪役)でしょうか。 プロレスを八百長と言う評論家に一度かけてやりたいアキレス腱固め『静かな怒りに満ちていますね)』抑えぬいた怒りでしょうか。 おれの技を使う前座レスラーに小遣いをあげたくない 『先輩としては、心の広いところをみせたいから、若手にもんくを言うわけにもいかない。』うーん、男はつらいですね。 まわし欲し丸いリング欲しというきみのしこを踏む背中が淋しい 『道場の隅でしこを踏んでいるという、そういう図でございますね。』プロレスは人生の縮図でございますね。 いつになくはりきっているきみを見て今日のTV中継を知る 『なんともほほえましい光景がうかんでまいりますねえ。』わかります。 つい本気で殴ることもあり我も人の子 『当然です』当然です。 折ってみろと叫ぶきみの顔が蒼ざめている 折らぬことを知っているくせに 『しかし、なぜ”きみ”は蒼ざめているのでしょうか。』『つまり、折ってしまうかもしれない可能性を持った相手と試合をしているということなんでしょうね』深いものがありますね。 あちらの団体にゆくよというきみと最後の酒 酔ったふりをしてからんでやろうか 『むこうへいってもがんばれよな』などといってる自分がなさけなくなってきますよね。 医者へ行き運動不足と言われて我はプロレス二十年目 『なにか、御本人の泣き笑いというか、困った顔が見えてくるようでございますね。』まったく、そうですね。 気楽にやろうぜというきみは十年前座の帝王とよばれている 『友情というか、愛情が感じられますね。』しみじみいい歌です。 きみの故郷できみにフォール負けする 『さわやかな歌ですね。』絶句です。 健康法はプロレスですと答えるきみは 五十五歳のメインエベンター 『これもすがすがしいですね。』貫禄ですね。 レフェリーのオーバーアクションにおれより声援があがるのは 許さない 『服をびりびりにされてしまう方もいるし』いましたね。むっつりした顔で受けを狙いますね。 レスラーになんかなるかよと言う息子嬉しくもあり哀しくもあり 『ううん。』泣けますね。 泣かされて帰ってきた子供が耐えている悪役の父の身の悲しき 『エロスとバイオレンスで売っている小説家が、必ずしも色きちがいの暴力人間でではない(そうである場合もありましょうが)というのと同じですね。』哀しいことです。 みやげのぬいぐるみそっと娘の枕元に置く そろそろ父の職業を知る年頃である 『思わず涙をさそわれるような』じーんときますね。 ギャラでもめ行かなかったリングおれが恐れて 逃げ出したことになっている 『ああ、これは腹がたちますよね。』あきれながら、納得も。 興奮しマジになっているおれの横の観客はレスラーよりも恐ろしい 『いますね、こういうお客さん。』その人が誰を応援しているのか、確認してから応援しないと危ないですね。 社長を殴って銭を稼げる商売が他にあるか 『他にございません』おっしゃるとおりです。 しのぶれど色にでにけりわが痛みギブアップかとひとのとふまで 『わたくしももの書きのはしくれでがざいますから』め、滅相もございません。平兼盛の本歌取ですね。本歌は”しのぶれど色にいでにけりわが恋はものや思うと人のとふまで”お見事です。 観客と浜の真砂は尽きるとも世にギミックの種はつきまじ 『七千年の眠りから醒めたミイラ男などというギミックには、楽しさがありますね。』釜茹でにされながら石川五右衛門さんもにやりの秀歌ですね。 心に沁みる歌が多いのでついつい長くなりました。とても夢枕さんのようにはまいりませんが、いろいろ感動してギャグ精神たいせつに励みたいものです。 蘇るまだら狼馬之助ハンディを超えてヒールはヒーロー 恐れ多くも異端爺作 では、また来週お目にかかります。 ※リサイクル・ベンチャー「資産売却課」ネットオークション
by itabashi_1
| 2006-06-30 08:00
| 本
|
ファン申請 |
||